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技術INFORMATION
[2003/09/15] 技術開発の話題 海外編
030801 脳神経細胞は移植可能
 Harvard Medical Schoolに付属するSchepens Eye Research Instituteの研究チームは、脳の神経細胞は、胎児の幹細胞のように、さまざまな身体組織に変化していくというわけにはいかないが、それでも脊髄や脳内組織、眼などの治療に用いれば、拒否反応がなく、免疫抑制薬を投入しなくてもよいという利点があると考えた。通常、移植された組織や臓器は、異物が体内に入ったと認知して、免疫システムが働く仕掛けになっている。しかし脳神経細胞は、このような免疫システムから保護されているらしい。その理由は、脳神経が脳内で炎症を起こせば、あまりに被害が大きくなるからか。

030802 睡眠障害は万病のもと
 睡眠障害は単に身体の不調をもたらすだけでなく、無呼吸を起こし、心臓病、高血圧症などの原因になりうる。また、REM睡眠中に夢を見ながらしゃべったり、歩くなどの異常行動をとるという場合もある。Michigan大学の研究者らは、このような障害を起こす化学物質を特定したとしている。ひどい不眠症患者を調べた結果、acetylcholineをつくる脳細胞に欠陥があることをつき止めた。また脳内にdopamineの分泌が低レベルである場合、REM睡眠が起きることもわかった。この二つの化学物質が、アルツハイマーやパーキンソン病に関係しているようだ。さらに大がかりな調査が必要だが、睡眠障害のメカニズムを解き明かす手がかりができたとする。

030803 カリブ海からサンゴが消える
 イギリスのEast Anglia大学の研究グループは、カリブ海の264箇所の海底で、サンゴ礁の状況を調べ、この地域全体について珊瑚が大きな被害を受けていることを明らかにした。過去30年間に、カリブ海珊瑚の80%が死滅した。これは、同じ期間の熱帯雨林の消失率を超えるスピードである。珊瑚が失われることは、ここを住処とする魚たちも生きていけなくなり、海から生物が消え、荒れた海底に変化していく。1980年代をピークに、その後は、次第に消滅率は減少傾向にある。責任は、漁業・環境汚染など人間にある。

030804 深海に生息する海綿が持つ光学特性
 光ファイバーが持つ問題の一つは、時間経過とともに、表面がひび割れ、切断に至る危険があること。Lucent Techonologies社(Murray Hill,NJ)のJoanna Aizenberg博士らは、深海に生息する海綿は、spicule(針骨)とよばれるトゲ状の格子構造を持っており、これが構造的にも材質的にも、光ファイバーに酷似していることに注目。これをヒントに問題解決ができるのではないかと期待している。このspiculeは、有機物の薄膜で覆われており、これがひび割れを防止しているとみる。また、光ファイバーが高温下で作られるのに対し、海綿の場合は常温で形成されることも興味のある点だという。海綿がこのような構造を持つことの意味は、よくわかっていない。

030805 ホログラムを使った三次元データメモリー
 ホログラフィーのメモリー機能を使ってデータを格納するという理論は、1963年に、Polaroid社の研究者Pieter van Heerden氏が提唱したことに始まっている。これまでのメモリーのほとんどは二次元であり、三次元構造の記録であれば、メモリー量、呼び出しのスピードも格段に上がる。しかし、理論的にきわめてすぐれているこのアイデアも、40年にわたる研究にもかかわらず、実用化には至っていない。ホログラフィーを使ったデータ保存の研究を続けてきたIBMのHans Coufal氏は、すでに技術的な問題は洗い出し、現在lithium niobateなどいくつかの材料を評価中である。lithium niobateよりも感光性ポリマーを好む研究者もいる。いずれにしろ、磁気記録方式はすでに限界点に近づいており、今後ホログラム・メモリーは脚光を浴びる。

030806 電子機器から鉛を追放
 アメリカで塗料やガソリンへの鉛使用が禁止されてから、すでに何十年も経った。電子部品メーカーでは、集積回路基板など、はんだに含まれる鉛をなくそうと努力を続けている。はんだの成分は、長い歴史をへて、スズが63%、鉛37%になった。EUでは、2006年半ばまでに、鉛の使用を禁止する計画を進めている。日本のメーカーは、これよりも早く鉛使用の全廃を進めている。従来のはんだに代わる代替物は、スズに銅が0.5%、銀が3%、または3.8%、4%を加えたものが有力視されているが、いかにしてそのコストを下げるかが鍵。

030807 水面を走るロボット
 アメンボなど、昆虫は水面を上手に走る。Massachusetts Institute of TechnologyのJohn Bush氏ら研究者は、昆虫と同じように水面を走る機械装置の開発に取り組んできた。その結果、長さ9cmと大きさは実物の9倍くらいだが、本物のアメンボとほとんど変わらない形の水上を走れる機械をつくった。名前はRobostrider。材料はアルミとスチール・ワイヤ。動力は弾性のある糸とプーリを使う。アメンボと同様、水面の表面張力を利用するのが特徴。進むスピードは1秒に30cm。この速さは昆虫とほとんど変わらない。昆虫の動作を真似て、足を動かして波を起こし、それを推進力にして進む。

030808 超軽量飛行機が環境調査などで活躍
 翼の下に直接小型エンジンが取付けられ、操縦士が乗る座席があるだけという超軽量飛行機が、最近にわかに注目を浴び、需要が拡大している。このような飛行機は、これまでもっぱらマニア用だったが、安いものでは2万ドル程度で買えるとあって、これを環境調査などに使うケースが増えている。コストだけでなく、分解でき、翼は布製なので折りたためるなど、持ち運びが楽なことも利点となっている。ピックアップトラックに積んで調査地まで運んでいける。西アフリカで象など動物を追跡調査するような場合、操縦席から下が丸見えで、展望のよさも評価されている。

030809 風力発電に関心が高まる
 アメリカでは、テキサス州Lubbockの東南90マイルに、アメリカ最大となる風力発電基地 Brazos Wind FarmをShell WindEnergy社(Houston,Tex.)がPadoma Wind Power(La Jolla,Calif.)と合弁で建設中である。今年末完成すれば、160基のタービンで、3万世帯の電力をまかなえる160メガワットの発電が可能となる。イギリスでは、2010年までに、同国の電力総需要量の5%から7%を風力発電にしようと、タービン数で300基、6,000メガワットの風力発電をめざして計画を進めている。これに必要な投資額は97.5億ドルといわれ、投資回収には10年以上かかることになる。それでも世界の風力発電能力は、4年以内に倍増されると、Deutsche Bankは予想する。

030810 宇宙開発技術を森林火災に応用
 アメリカの森林火災は、昨年、消失面積700万エーカーを記録した。これは1990年代の年平均のほぼ2倍である。被害を減らすため、森林火災を防ぐ新しい技術を真剣に求めている。消化技術もさることながら、火災発生をいかに早く知るかが有効。U.S.Forest Serviceでは、NASAの人工衛星から送られてくる画像を利用し始めたが、Rochester Institute of Technologyでは、10,000フィートの上空を飛ぶ飛行機から、1フィート幅程度の火災も見逃さないリモートセンシング技術を開発中である。NASAは、アフガニスタンやイラクで用いられた無人偵察飛行機のようなものを、森林火災探知に飛ばすことを計画している。

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